簿記2.0

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有形固定資産の集計テクニック

今回は有形固定資産の解答テクニックを紹介します。

簿記検定でも税理士試験でも、有形固定資産の問題はほぼ100%出題されるので、確実に得点していきたい論点です。

 

例題

(出典:TAC 税理士試験 簿記論 個別問題集 8-6)

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 火災損失から資本的支出や買換など、てんこ盛りな設問ですが、ひとつひとつを分解して集計すればなんてことありません。

 

減価償却費の集計 

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まず最初に減価償却費の集計。各問で計算した減価償却費は、資料の脇に直接書き込んで集計します。ここでのポイントは、集計ゾーンを2列に分けること。2列に分けることで、減価償却累計額に加算する部分と累計額に加算しない部分(消失や売却した部分)に分けて集計することが可能です。今回の例題で私が集計したものですと、左側の合計を前T/Bに加算、左右の合計を、解答用紙の減価償却費の欄に直接書き込んでしまいます。

 

 

固定資産の災害損失

f:id:sakashitazei:20190216223901j:plain「火災により消失したってことは、火災損失か保険差益が出るなー。」

 

建物Aは火災により消失した、ということなので、災害損失の個別問題と推定できます。災害損失の場合、保険差益が出るか、火災損失が発生するかを計算する必要があります。

 この場合は、余白に潔く仕訳を切って考えちゃいます。理由としては、損益どちらになるかを考える際、借方に発生したら火災損失、貸方に発生したら保険差益と、仕分けを切れば直感的に考えることができるからです。下手に図 なんかを作るより、ずっと効率が良いです。

 

資本的支出

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「改修工事で耐用年数延びたってことは、資産計上分と修繕費計上分があるな。あとは改修後の減価償却。資本的支出分は残存0で既存の部分は残存耐用年数か。」

 

資本的支出の設問は、まず資産計上分と修繕費分を按分する必要がありますね。これは予備校でもオーソドックスなやりかたかと思います。余白にタイムテーブルを書いて按分しちゃいましょう。

あとは減価償却費。資本的支出分は電卓だけで計算しましたが、既存部分はボックスを書いて考えます。理由としては、残存価額が分からなくなってしまうから。よくやってしまうのが、未償却残に0.1を掛けて計算してしまいますが、これだと正しい焼却費が算出できません。確実にボックスを書いたほうが懸命です。

 

償却方法の変更

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「定率から定額、ボックスを書いて、と。」

 

償却方法の変更は、資本的支出と同様、余白にボックスを書いて計算しましょう。本文では残存割合が0でしたが、理由は資本的支出と同様です。耐用年数が変更する問題は、基本的にボックスを書いて視覚的にイメージしたほうが、ミスも発生し難いと考えます。

 

固定資産の買換

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「買換。仕訳書いて損益と新しく買った資産の簿価を出して。」

 

買換の設問でポイントとなるのは

1、売却損益

2、取得資産の簿価

の2点ですね。個人的には、潔く余白に仕訳を切っちゃうのが一番だと考えます。売却損益については、災害損失と同様に、仕訳なら感覚的に損益を把握できます。また、簿価の算出する際、問題文に現金支出額や仮払計上額が分かれば、仕訳を書くことで貸借が合うかチェックをすることができます。

 

 

以上が有形固定資産の問題を解くテクニックです。個別問題で発生した減価償却費を集計するのは大変ですが、資料と余白を上手に活用すれば、減価償却費および減価償却累計額を得点することはそんなに難しいことではありませんので、まずは個別問題を解けるように練習しましょう。

 

他にも、減損やリースなど、様々な論点がありますので、別の機会に紹介したいと考えます。